Story 02KIMINOTE 制作のきっかけ

ロービジョンの子供のノートについて

ロービジョンについて」でご紹介したように、子供たちはそれぞれの視力や見え方に応じてさまざまな工夫をしていますが、それでも、学校や自宅でノートを使うときには、次のような不便があります。

不便1 : ノートの罫線が見えずにはみ出したり、曲がってしまう

現在市販されているノートの多くは、ロービジョンの子供たちにとっては罫線が細く、色も薄いため見えづらいものです。ノートを取っているうちに罫線から文字がはみ出したり、曲がってしまいます。

不便2 :ロービジョン向けの罫線の太いノートは1種類しかない。

ロービジョンの人にも使いやすいような罫線が太く、行間の広いノートは1種類だけあります。しかし僕が中学生だった25年前から変わっていません。罫線の太さや行間の広さなどの機能面でも、また表紙などのデザイン面でも、もっと選択肢が増えるとより楽しくなりますね。

ノートに動物の名前を書いている女の子の写真

「ロービジョン向けのノートでかわいいやつってないの?」

2014 年 2 月のある日、小学校 1 年生のロービジョンの女の子のお母さんから、こんなことを聞かれました。市販されているノートの罫線はよく見えなくて、既存のロービジョン向けのノートを薦めてみたけれど「かわいくない。学校に持っていきたくない」とのこと。

みんなと違うノートを持っていくだけでも、彼女にとってはイヤなことなんだろうな。
気持ちはよくわかる。そしてそれがかわいくないとしたら…

自宅に帰ってネットを検索してみましたが、いくら探しても上でご紹介したノートたった1つしかない。
ロービジョンの子が見やすい・使いやすいノートがこの 1 種類だけで、ほかに選択肢がないんだ。しかもそれが少なくとも 30 年近く続いていたんだ。

このことに愕然としました。

そのあとも気になって、どうにかできないか考えていました。「文具メーカーに問い合わせてみようかな。あるいは作ってもらえるようにお願いしてみようか」とか「オンデマンド印刷で作ってプレゼントしようかな」とか。ちょうどその時作品を募集していたアイデア文具コンテストにエントリーしてみたりもしましたが、まあ、シロウトがいきなり応募してもダメですよね(汗)。

1 か月ぐらいぐるぐる考えていた中で、ふとクラウドファンディングのことを思い出しました。
「そういえば企業や個人がモノを作ったりイベントを開催するために寄付を募れるサービスがあったな。あれを使えばノートを作れるかも。よし、ロービジョンの子が使いたくなるようなノートがないなら作ってみよう」

選べることは、豊かなこと。

ロービジョンの子供たちに、ノートの選択肢を増やしたい。
そして、自らの手で世界を広げ、選択肢を増やしていけるようになってほしい。
そんな思いを込めて、ノートの名前を「KIMINOTE(きみのて)」にしました。

ノートを開く、世界を開く、KIMINOTE で。

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