Story 06KIMINOTE のこれから

2014 年 3 月からの半年間、本当に多くの方々のご協力をいただいて KIMINOTE を制作しました。
しかし、これははじめの一歩です。

KIMINOTE を届け続ける

ノートは 1 度使って終わりではありません。小学校で 6 年間、中学校も含めると 9 年間は使い続けます。
授業でノートをとることももちろんですが、文章を書くことそのものがとても大事だと思います。友達や家族と過ごす中で楽しかったこと、うれしかったこと、時には悲しかったことや悩みもどんどん書いてほしい。そして自分の気持ちや考えを自分の言葉で表現できるようになってほしいと強く願っています。この願いを実現するために、KIMINOTE を継続して届けられるような仕組みを作っていきます。

選択肢をもっと増やす

KIMINOTE の罫線は制作当初、12×18 マスの 1 種類だけでした。全国の子どもたちへプレゼントしたときに同封したアンケートの結果を参考に、10×15 マス、6×8 マスのノートを新たに制作し 3 種類としました。
そしてさらに 2017 年 3 月、タテ書き・ヨコ書きのノートを 2 種類ずつ制作しています。学年や視力に応じて必要なノートも変わってきます。また保護者や先生方からは連絡帳や漢字学習帳、英語ノート、五線譜のノートがほしいという声もいただいています。

また表紙についても、今の KIMINOTE は小学校低学年の子を意識していて、かわいらしいキャラクターやロケットなどを使っています。これも高学年になると、「あたしはもうキャラクターは卒業したわ」「もっと大人っぽい表紙がいいな」というように、ほしいノートは変わっていきます。

KIMINOTE が最も大切にしているのは「選べること」。

子供たちがノートを楽しく選べるように、中身も表紙もバリエーションを増やしていきます。

子供たち、保護者・先生方からニーズや要望を聴く

KIMINOTE プロジェクトを進める中で、「ロービジョンの子がどこに何人いるのか?」を正確に把握することは結局できませんでした。それぞれの盲学校や弱視学級に通っているロービジョンの子の人数は、入学・卒業・転入や転校などによってもちろん毎年変わります。
また実は、ロービジョンの子供が必ずしも盲学校や弱視学級に通っているわけではありません。

こうした状況で KIMINOTE の課題や今後のニーズを知るには、実際に KIMINOTE を使っている子供たちや保護者の皆さん、先生方に聴いてみないとわかりません。子供たちが書いたものを見ないとわからないこともあるでしょう。

そこでロービジョンの子供たち、保護者、先生方とコミュニケーションを密に取り、求められるノートの姿を追い続けていきます。

さらに、ロービジョンに限らず発達障害や学習障害、ディスレクシアなどさまざまな障害のある子供たちの想いにも応えられるように、ブラッシュアップを続けていきます。

30 年後の僕たちへ

今、小学校に通っている子供たちは 30 年後、大人になっています。そのころ僕はすっかりおじいちゃんです。今よりも視力が落ちているかもしれないし、ロービジョン以外にも病気や障害を抱えているかもしれません。

30 年後、社会を作っているのは彼らです。彼らの中からものづくりや政策づくり・社会づくりに携わる人があらわれて、自らの言葉でロービジョンのニーズを伝え、障害者を含めた多くの人が参加できる社会を作っていってほしいと思います。それによって 30 年後の僕も、そして皆さんも楽しく過ごせるのではないかと思うわけです。KIMINOTE プロジェクトは、30 年後の僕たちに向けた取り組みでもあるということです。

このプロジェクトはまだ始まったばかりです。KIMINOTE のこれからを温かく、時には厳しいまなざしで、見守っていただけたら嬉しいです。

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