Story 04KIMINOTE のデザイン

KIMINOTE の制作資金は、前回ご紹介したように READYFOR? で募集することにしました。一方、肝心のデザインはどうしたのか、今回はこのことについて書いていこうと思います。

表紙はかわいいイラストとかっこいい写真で

KIMINOTE の表紙は、主に男子向けと女子向けがあります。男子向けの表紙は鉄道や飛行機・ロケットなどの写真を使いたいと考えていました。なかでも、小惑星探査機「はやぶさ」のエピソードが KIMINOTE のコンセプトにぴったりだったので写真を載せることにしました。JAXA のウェブサイトで写真や動画・音声などの素材提供サービスを行っていることを見つけたので、これを利用させていただきました。

JAXA デジタルアーカイブスウェブサイトのスクリーンショット(2014年当時)

女子向けの KIMINOTE にはかわいらしいイラストを載せることにしました。ロービジョンの子からは「アイカツ」や「ルルとララ」などキャラクターのイラストを載せてほしいとリクエストをもらいましたが、権利関係をクリアできず断念(大人の事情でごめんね)。イラストレーターさんに描いていただくことにしました。

ここでまた疑問が出てきます。

  • ロービジョンの子に見やすいイラストってどんなもの? まず何が描かれているかを見てわからないとかわいいかどうかもわからないな
  • 女の子が使うノートの表紙を飾るイラストをおじさんが決めていいのか?

そこで、友人のイラストレーターさん 3 人に依頼してラフを描いてもらい、それをロービジョンの子に見てもらって最終的なイラストを決めることにしました。イラストレーターさんには「ロービジョンの子供にも見やすいように、輪郭線をはっきりと描いてほしい」と伝えました。

本文は試作品を作ってダジャレでテスト

ノートの罫線やマスの大きさについては、試作品を作ってロービジョンの子に文字や文章を書いてもらい、見やすさや書きやすさをテストして決めることにしました。そこで次のような試作品を作りました。

罫線の太さ:
0.1mm から 1mm まで 0.1mm 刻みで 10 種類
罫線の色:
赤、青、緑の 3 種類
リーダー線:
あり・なしの 2 種類

合計 60 種類の試作品が出来上がりました。しかしそのすべてをテストするのは、ロービジョンの子への負担が大きすぎます。そこで最初にいくつか質問をして予選を行い、テストする試作品を絞っていきました。「赤い罫線は赤鉛筆の色と重なるから見づらい」「リーダー線はないほうがいい」「罫線があまり太すぎると、自分が書いた文字との区別がつかなくなるので読み返すときに見づらくなる」などの意見をもらって、以下の 5 種類の試作品でテストすることにしました。

罫線の太さ:
0.1mm から 0.5mm まで 0.1mm 刻み
罫線の色:
リーダー線:
なし

試作品のテストは、ロービジョンの子が当時好きだったダジャレを書いてもらうことにしました。単純に楽しいから。遊び心は大切です。

ロービジョンの子が書いたダジャレを紹介します。

罫線の太さ 0.5mm の試作品に書いたダジャレ「パンダのおやつはパンダ」「きりんがトイレですっきりん」「かえるがかえる」(原文ママ)

罫線の太さ 0.4mm の試作品に書いたダジャレ「ふとんがふっとんだ」「おかねはおっかね~」「こうちょう先生ぜっこうちょう」(原文ママ)

罫線の太さ 0.3mm の試作品に書いたダジャレ「バナナない?そんなバナナ」「レモンの形のいれもん」「みかんがみっかんないよ~」(原文ママ)

罫線の太さ 0.2mm の試作品に書いたダジャレ「イネながいね~」「ライスがないとつらいっすー」「この肉つかみにくいよー」(原文ママ)

罫線の太さ 0.1mm の試作品に書いたダジャレ「そのトマトちょっとまっとくれー」「おもちをおもちですか?」「ステーキはおいしくってステキー」(原文ママ)

書いてもらった文字を見ると、罫線の太さ 0.1mm の試作品ではマスの端に字が寄っているのが分かると思います。ほかのものより線を強く意識して書いていることがうかがえます。

こうしたテストを踏まえて、罫線の色や太さ、マスの大きさを決定しました。

ちなみに、僕が一番笑ったダジャレは「こうちょう先生ぜっこうちょう」でした。朝礼であいさつをするぜっこうちょうな校長先生が目に浮かびます(笑)

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